小説■第六巻■

□ストロボ・エッチ
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神はこの世に生まれた
全ての性をよみしたもうか…

この物語は愛の神に心を委ね
イクことへの過激な挑戦を試みた
いち少年の愛のロマンである



【ストロボ・エッチ】



『おじゃましま〜す』
『ちっす!いらっしゃ〜い』


今、泉は三星学園の叶修悟の家に到着したところである。
大宮から電車で2時間弱。
そこから自転車で迎えに来てくれて数十分。
ちょっとした旅行気分であった。

泉孝介は今日、叶修悟の家に泊まりに来た。
本当は三橋も来るはずだったのだが、急遽家庭の用事で来られなくなったのだ。


『三橋来られなくて残念だったな』
泉が言うと
『ま〜な。でも家の用事なら仕方ない。それより泉もキャンセルなくてよかったw』
と叶は笑顔でそう言った。

『ま〜ドタキャンとかオレあんま好きじゃないし?ちょっと群馬とか来たかったし?』
ニカっと笑うと叶家の玄関先で靴を脱ぎ、家に上がらせてもらった。

『あれ?家族は?』
今日は土曜日。
土日で泊まりにきたのだが、家の中に家族の気配がしない。


『家族はみんな旅行に行ったぞ?だから今日、三橋が遊びに来るってことだったんだ。』
『あ、そうなの?何で行かなかったの?』
『あ〜…俺、明日練習試合なんだよねw』
『てか練習しなくてイイのかよ!』
『ですよね〜w』


そうなのだ。
三星学園野球部は明日、県内の高校と練習試合があるのだった。
だから家族旅行にはついて行かず、叶は一人家に残っているのだ。

本来ならその自由な時間を使って三橋と三橋の幼馴染・瑠里を交えて4人でお泊まり会をする予定だった。
だが三橋も瑠里も、その親族の用事で来られなくなってしまったということである。


『じゃ〜つまりオレたち…』
泉は上目遣いで叶を見る。
『…そう、今夜は二人っきりだね♪』









『…な〜んてなwwあはははは!』
『あはははは!バカくせぇ〜ww』

くだらないジョークで笑い飛ばす。

だがそんな笑いの裏に少しばかりの本気が混じっている。
泉はそんな心の内を見透かされないように努めてポーカーフェイスを保った。



『あ…制服のコート?ちょっとカッコイイよね。』
泉は叶の部屋に上がらせてもらい、最初に目に付いたコートのことを口にした。

三星学園の冬の制服のコートはトレンチコートだ。
オシャレなチョイスはさすが私立学園といったところか。


『それ結構他校のヤツに言われるw』
叶はまんざらでもないような表情で言った。

『特に叶なら似合いそう。』
『いやいやそんなことないってwみんな似合う似合うw』

『いや〜…記憶にある感じ畠とかは似合わなさそう…』
率直な意見を泉が述べると
『それ聞いたらショゲるだろうな…』
叶は神妙な顔で答えるのであった。


『そうだ!泉、ちょっとうちの制服着てみる?』
突然叶が思いついたようにそう言った。

『え??いっいいの?』
普段私服で登校している泉にとって、制服は少しばかり憧れのツールだ。
それに中学の頃は学生服だったからブレザーは目新しい。

『もちろんいいに決まってんじゃん!泉なら似合いそうだな〜♪』
なんだか楽しそうに叶は言う。

そしてそう言いながらクローゼットを開けて叶は自分の制服を泉に差し出した。


黒いズボン
黒いネクタイ
グレーのシャツ
そして、白いジャケットとコート


ベッドの上に並べただけでオシャレさは際立っている。
泉は制服を前に目を輝かせた。


『やっべ♪カッケーw』
『泉なら絶対似合うって!着てみて着てみて♪』

叶もノリノリだ。

替えの制服も用意し、二人で同じ制服を着用することになった。
…もちろん叶にしてみれば普段着ているものなのだが。

それでも他校の生徒と同じ制服を着ることに、叶もテンションが上がる。


今着ている洋服を脱ぐ。
そしてパンツ一丁になることも厭わずぱぱぱと着替える二人。


結果

そこには三星学園の生徒二人が出来上がったのである。
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