Wonder land
□8.不安
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前も話したように、異世界の者で、容姿は魚のヒレ?みたいな耳をしている。
人魚なのか魚人なのか・・・本人曰くとりあえず両生類、らしい。
リオもシャルトル同様、一年くらいはこの世界にいるので、知識はある筈だが・・・。
シャルトルはまだ仕事が残っているらしく、二人はシャルトルを置いて部屋を出た。
「あの〜、リオさーん」
リオに会いに行くと、花に水をやるリオに焦りぎみにチェシャ猫、オレオが話しかけていた。
オレオは最近よくこの城に遊びに来る。
そして最近オレオも異世界から来たやつだと知った。
「オレオ?」
「ああ、令クン。リオさん、なんとかなんない?変なの栽培してんだけど」
そう言われて令は花壇に目をやると、なんだかファンシーな顔のついた花がこちらを見ていた。
「燃やせ、頼むから燃やしてくれ・・・」
令の胸ポケットに入っていた千隼が花を見るなり青ざめた顔で呟く。
トラウマでもあんのかな・・・?
あまりの千隼の必死さに令は首をかしげるしかない。
森であったものより小さいが、アレは千隼にとって恐怖の対象でしかない。
「あれ?千隼?」
オレオが胸ポケットの千隼に気付く。
少し驚いている感じだが、それほどではない。
もしかしたら・・・。
「手、乗らせてもらっていいか?」
「ああ、ほら」
とりあえず話しやすいよう、千隼はオレオの差し出された手に飛び乗る。
「オレオ、もしかしてアタシが小さくなった理由、何か知らないか?」
千隼は少し期待しながら聞いてみる。
まだオレオがこの世界に来てどれくらいたっているかは知らないが、まぁ、もしかしたらこの状況の理由を知ってるかもしれない。
「ああ、多分わかるけど・・・その前にアレ」
オレオが指差す方向ではすぐにすくすく成長していくファンシーな奴と、それに肥料をやろうとしているリオを懸命に止めようとしている令の姿があった。
三人はあれからなんとかリオを止めて、とりあえず落ち着くためたまたま一番近かったリオの部屋に移動していた。
「で、何でアタシは小さく?」
千隼がオレオに問う。
千隼はちゃぶ台の上に乗り、皆はそれを取り囲むように座っていた。
何故こんな洋室にちゃぶ台を置いてあるのかは不明である。
「アリスの能力だよ」
「アリスの?」
そういえば女王様にもアリス、と言われたことがある。
童話のとあるシーンを思い出す。
確か、アリスはクッキーか何かを食って小さくなるんだっけ?
「けど、変なモン食った覚えないし」
「あ〜、千隼知らないのか。役ってのがあるはわかるよね?」
「一応」
役。確か女王様もそんなことを言っていた。
「役にはそれぞれ能力がついているんだ。例えば、白ウサギさんは時渡り、ハートの女王はハートのトランプを操れる」