Wonder land

□4.格別な森
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今の兵士を負かしたのはシャルトルだった。
シャルトルは圧倒的な剣技で敵の兵士を切り払っていく。

刹那、後ろから兵士がシャルトルに切りかかった。
千隼はそれを風を飛ばして阻止する。

「サンキュな、助かった」

シャルトルはそう言って苦笑いしながら剣をかまえなおした。

千隼も続けてかまえる。

千隼達はハートの女王の護衛の道中、敵に囲まれていた。

やはりいずれもクローバーの兵士。

ハートの女王を狙っての奇襲だ。
ハートの女王は馬にのっており、数人の兵士達やアタシたちはそれをかこむ形になっている。

護衛は手薄な気がするがハートの女王がそれでいいと言うのだからいいのだろう。

そんな感じで考え事をしながら敵の兵士の剣を何とかかわす。

『千隼!!』

ハートの女王とシャルトルの声が重なる。

気が付けば千隼は崖の淵に追い込まれていた。

「っ・・・」

ガラッ

急に足元が崩れ、体が宙に浮き上がる感覚が起こる。
やばい・・・
思った時には遅い。

「ぎゃあぁあぁ!?」

体が下へと落ちていく。



走馬灯と、いうやつだろうか?

幻覚が見える。

真面目に勉強をしてた幼少のころ。

いつのまにか、人間関係も旨くいかなくて、何もかもに疲れてみんな嫌になって・・・勉強も当て付けのようにサボるようになっていた。

ふと、昔仲が良かった中学の頃のクラスメイトを思い出した。
“きょう”・・・だったっけな。

気がついたらいつも一緒にいて、心の拠り所だった。
確か、いつだったかから学校に来なくなってからはずっと、会ってない。
それからは誰とも必要以上に関わらず、何と無くな日々が過ぎて行っていた。

やがて、高校になって、一人暮らしするようになった。

入学当初は人見知りが凄くて、いつもむすってしてたっけ。
まぁ最近までもそこまで愛想はよくなかったが。

そのうち富田と会って、いつもより学校にいるのが多くなって。
久しぶりに少し友達ができた。
それだけでも、アタシには驚くような出来事だった。

そして、白ウサギにこの世界に連れ込まれて・・・。

「千隼っ」

声?よんでるのか?

そっと目を開くと、シャルトルがいた。

「んっ・・・、ここはあの世じゃないのか」

「なに寝ぼけてんだ」

呆れた声でシャルトルが呟く。

見回すとツタのようなものが一面に広がっており、千隼の体にも少し絡んでいた。

最も、千隼のまわりのツタは全部切られていたのだが。

「なんだ、これ・・・?」

「幻夢草のツタだよ」

「幻夢草?」

この世界の不思議植物か?

見回すと所々で人が眠っている。
中には白骨化している者もいた。
なんだかぞっとする。

「人に夢を見させてその間に生気をすいとるんだ。
気付けば目を覚ませなくなってるってやつ。
この幻夢草の花粉には人を眠らせる効果があって、瓶につめて眠り粉のように使うやつも少なくはない」

瓶につめた眠り粉・・・。
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