Wonder land

□18.渦巻く影
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ロゼの手にはいつの間にか取られたのか例の光の入った瓶。

「これを持って英数字の痣のある12人に・・・まぁ、君を抜けば11人だね。その人たちに会ってもらいたい」

「会うとどうなるんだ?」

「瓶の光はより強くなるだろう」

そこまで言われて思い出す。
瓶の光が少し強くなった時は大体英数字の人物に会っている。

「もうすぐ夜が明ける。君は目を覚ますだろう」

「ちょっ・・・ロゼ、まだ聞きたいことが・・・」

アタシの台詞も虚しく、そのままロゼ達は光の中に消えてしまった。



朝だ。
眩しい光は痛いほど目に染みる。

寝たのか寝てないのかも微妙な気分でベッドから立ち上がると、とりあえず顔を洗うため等に洗面台へ向かう。
一体あの瓶には何があるのか?
ジャックは何を企んでいるのか?

そして、ロゼは何者なのか?

アレがただの夢だとは思えない。
そんな事を考えながら顔をゆすぐ。

バタッ

「千隼さんっ、大変です!」

英介がアタシのいる部屋へと入ってきた。
っていうかドアに鍵、閉めたはずなんだがな・・・。

「どうしたんだ?」

「魔術が使えないんです!」

「・・・は?」

アタシが呆気にとられていると、英介は何やら手を振りかざす。
いつもなら炎とかがぼわぁっと出てくるはずなのだが、英介の手からは何も出てこない。

何度振りかざしても同じだった。
どうやら本当に魔術が使えなくなっているようだ。

「何か、心当たりとかはないのか?」

「さぁ・・・」

英介はそう言ってタメ息をつく。
魔術が使えないとなると、まぁあまり生活には支障はないだろうが戦いでは不便だろう。
幸いにも今回、戦は控えていない。

「千隼さんっ、なんとかして下さい〜」

英介は情けなくもアタシの腰の辺りにしがみついてくる。
変な手つきで。

ゴンッ

とりあえずおもいっきり英介を殴ると思いのほかいい音がなった。
流石に効いたのか英介は頭を抱えている。

「った・・・酷いじゃないですか、この、か弱い僕に」

「・・・か弱い?」

どの口が言っているんだ?その言葉は。
そしてそれは男であり、力ある方なお前のセリフか?

「魔術なんてなくっても充分に強い癖に。そのくらいどうにかなるだろ」

この世界に来てから英介とは何度かともに戦っている。
魔術がなくとも兵士くらいの雑魚が束になったって勝てやしない事には変わりない。

「どうでしょうか、ね」

「・・・何か思い当たる節でも?」

「いえいえ、そんな」

そう言いながらも英介は青ざめ、目をそらしている。
やはり何か不都合でもあるのだろうか?

「とりあえず女王様んとこ行ってみるか」

多分女王様なら何か知ってるだろう。
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