Wonder land
□17.無慈悲
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「うむ、もう時期になるか・・・」
ハートの女性はそう言って何かを考え込む。
しばらくし、顔を上げると言葉を続けた。
「十二の力を鍵に集め、白を打ち消せ」
染まれの次は打ち消せか。
鍵を含め、やはりわからない。
「それより、クローバーに捕まっていたのだろう?よく生きておったな」
「ああ。何かクローバーの女王に気に入られたから」
「気を付けろ、奴は無慈悲だ」
「無慈悲?」
そんなイメージはなかったが・・・。
「何故、クローバーの国は他国から反感を買っているんだ?」
そういえば具体的な理由を知らない。
やはり予告状の時ような問題ばかり起こしたからなのだろうか?
否、この国の女王様のことだ、そのくらいなら面白がるくらいで終わるだろう。
「・・・千隼の前にいたアリスの死因を知っているか?」
少しの間の後に、女王様が言った。
そういえば前代アリスの死因を知らないな。
今までこの世界では何人かの・・・いや、何十人、何百人かもしれないが、それほどのアリスに選ばれてしまった人達が消えていったのだろう。
きっと闇に打ち勝つまで物語は終わらない。
前代のアリスも闇に負けていった人達の中の一人だ。
「・・・知らない」
「わらわはな、前代のアリスの事を気に入っておったのだ」
お前のことも気に入っておるがな、と付け加え女王様は話を続ける。
「ある日、クローバーの国を訪れた時、前代のアリスは不機嫌だったクローバーの女王に打ち首にされたのだ」
打ち首・・・酷だ。
八つ当たりと言う理由だけで消されるなんて。
「それだけではなく、ここに来るアリスの半分以上はクローバーの女王に消されておる」
「半分以上が?」
運が悪ければ、アタシも殺されていたのか。
容易に近づけないな。
「何故そんなアリスばかりを?」
「まぁ、一応アリスに限ったことではないのだが・・・。単に今までのアリスを気に入らなかったというのもあるだろう。ではそろそろ失礼する」
女王様は苦笑いをすると、そのまま仕事に向かってしまった。
「白を打ち消せ、か」
令と町を歩きながら呟く。
「情報が少なすぎるよね。裏切り者はどんなやつかわかったけど、白が何なのかとか、闇の正体とか」
「まぁ、そのうちわかってくるんじゃないか?・・・って、うわ」
千隼の台詞の途中、急に地面が揺れだす。
「地震!?」
わりと激しく揺れていて上手く身動きがとれない。
この世界でも地震はあるのか。
つい、体勢を崩してしまった。
倒れそうになった刹那、後ろから誰かに抱きかかえられる形で支えられた。
同時に地震も止まる。
「大丈夫?」
見上げると、綺麗な紅い瞳と目が合った。