Wonder land

□10.別の世界
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「で、約束受けちゃったんだ」

「・・・ああ」

令がタメ息をつく。
受けちゃった、というのは英介との賭け事勝負のことだ。

人数は三対三で、審判は女王様。
勝ったらアタシが英介に一つ言うことを聞いてもらう、負けたら英介と一緒にアタシがこの世界に残る、というもの。

あの後、令の部屋に相談に来ていた。
令はちょっと、怒り気味だ。

「もし、負けたら、アタシを置いて帰ってくれ。手助けはするから」

「・・・冗談じゃないよ。
千隼置いて帰れるわけないじゃん。後一人は?」

「響に頼もうと思ってる」

正直、まだ一緒に戦ったことないし、あいつの実力はわからない。
けど、今は頼るしかない。



目の前にあるのは美しい薔薇と、その茎で彩られた迷路、入り口の近くには用意されたテーブル。

そしてチェアーにはハートの女王が腰かけて、優雅に紅茶を飲んでいた。
しばらくして、飲み干したカップをテーブルに置くと、そっと立ち上がる。

「そなたら、ルールはわかっているな?」

ハートの女王が微笑む。
ルールは銃声を合図にスタートし、入り口が二つあるこの真っ赤な薔薇の迷路の中に手違いで植えられた白薔薇を探しだし、取ってこいとのこと。

白薔薇は一つだけ残し、後は兵士達に綺麗に塗りつぶさせたので引き分け等の心配はないらしい。

・・・ちなみに、植え間違えた人は現在行方不明となっている。

敵のグループは英介に・・・数合わせなのか、兵士A、そして後一人は現在残業中とのことだ。途中参加らしい。

「兵士A、お前も大変だな・・・」

「あの、千隼様、勝手に変なあだ名着けるのやめていただけます?」

兵士Aに対して千隼が同情をする。

きっと無理矢理引っ張ってこたれたんだろうな。
ちなみに兵士Aは役でもトランプでもないので、一応名前はある。多分。

城に使えている兵はトランプ兵ばかりではなく、ちゃんとした国の民もいるのだ。
不意にパンっと銃声が響く。

「ほら、兵士A、行きますよ」

「白ウサギ様まで・・・」

英介達が先に右側の入り口へと走って行く。
千隼達は一応左側の入り口から入って行くことにした。



ビュンッ

令のうった矢が薔薇の化け物へと突き刺さる。
すると、薔薇の化け物はみるみるうちに崩れていった。

「へぇ、やるな」

令は習い事で小さい頃からアーチェリーをやっていたのをきっかけに、今は弓で戦うようになった。

並み程度しか使えてない魔術をカバーするのには充分過ぎるほどで、随分強くなったと思う。

「さて、白薔薇は・・・」

響はぱっとまわりを見回してみる。

一面、痛々しい刺が目立つ茎に、真っ赤な薔薇。
さらに薔薇の花に似た化け物が紛れているときた。

多分女王が面白がって兵士達に植えさせたんだろ。
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