Wonder land
□8.不安
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「朝起きたらこうなってたんだ」
「朝起きたらって、変なものでも食べた?」
「思い当たらない」
頭の中をあさってみたが、やはり、それらしい原因は思い付かない。
「これはこれで可愛いと思うけど・・・」
「呑気なこと言わないでくれ・・・、それに小さいと不便が多い」
下手をすると部屋を一つ移動するのも大冒険だ。
親指姫ほどってわけでもないが、令の掌に乗れてしまうほどは小さい。
まぁ、一般的な男性の手の中指くらいの大きさぐらいだ。
「令、とりあえずシャルトルのとこに連れてってくれないか?」
「何でいつもシャルトルなんだよ」
「この世界について今頼れんのはあいつくらいだ。女王様は戦に出てるし、響は女王様の護衛で出されてる、それに、英介はあの性格だから・・・」
令はそれを聞くと、渋々了解する。
まぁ女王自ら戦に出るというのも変な話だが・・・。
ちなみに英介の名前はあれから色々あり、今となっては皆知っていた。
「おい、エルフモドキ」
令がそう言いながらドアを開ける。
シャルトルは令を見るなり「げっ」と嫌そうな顔で呟いた。
「モドキじゃねぇ、ちゃんとしたエルフだ。
なんだよ、仕事か?」
「いや、これ」
シャルトルの前に差し出された令の手に乗っているのは、ミニサイズの千隼。
「俺、疲れてんのかな・・・」
「現実だって。つか、存在がすでに非現実的なお前が言うな」
令の掌の上の小さい千隼がタメ息をつきながら呟く。
「お前らの世界事情とは違うんだよ。俺の世界でも人が小さくなんのは非現実的なんだ」
「妖精さんはいるのにか?」
まぁ、妖精さんが小さいとか、何でもイメージで決めつけるのはアレかもしれないが、シャルトルの世界はあまりに想像どおりすぎた。
どこまでもありがちなRPG。
「最初から小さいのは別だ」
「そんなもんかよ・・・。で、アタシが元に戻る方法知らないか?」
「わりぃ、俺もそういう現象は初めて見た」
シャルトルすら知らないとなると・・・どうしたものか。
「ダメ元で英介に・・・」
「あ゛ーっ、白ウサギはやめとけ!!」
「僕も野田は反対!!」
呟いてる途中にシャルトルと令に止められる。
さほど信用がないらしい。
そして二人とも必死だ。
「あ、そーいやリオの奴が帰って来たらしいぞ」
思い出したようにシャルトルが呟く。
「リオが?」
「ああ、今はガーデニングしてるらしい」
「相変わらず意味わかんないやつ・・・」
「ああ」
千隼はつい、令の呟きに同調する。
リオとは・・・まぁ例の放浪してた奴だ。
あいつは英介とは別の意味でなに考えてるかわからない、まさに謎の男?な奴だ。