Wonder land

□7.ポジション
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千隼は息をきらしながら走っていた。

水蛇の巣だけあって、足元には少し水がはっている。
次から次へと出てくる蛇にきりはなく、もう魔術を使うほどの力は残っていなかった。

「わっ!?」

小さな蛇に足をとられ、前に倒れてしまう。
小さなと言ってもアタシ達の世界では普通サイズだが・・・。

毒がきいたのか足が痺れる。
それに、見上げるとここはすでに巣の一番奥だった。

もう逃げ場はない。
戸惑っていると、誰かが急に目の前に現れる。

後ろ姿で、フード付きのマントを羽織っているのと、後ろを向いているので体格や顔は見えないが、白い髪に、後ろ髪の間から見える首もとには英数字の4。
異世界の者の一人だ。

「やはり来てしまったか・・・」

呆れた声で言われる。
知り合いだろうか?
どこかで聞いた声な気もする。

蛇の毒により、意識は少しずつ薄れていく。
大量の蛇に少し苦戦しながら戦っているそいつの姿を見ながら、アタシの意識は途絶えてしまった。



目を覚ますと自分の部屋のベッドの上だった。
毒も抜け、怪我の場所には器用にも包帯が巻かれている。

実は皆には黙ってでてきていたのだが、顔などの見える場所には傷はないので、まぁ、誤魔化せるだろう。
結局、蛇の巣では何も見つからなかった。

あの、白髪の人は、誰だったのだろう?

知り合いったってアタシの知り合いの白髪っていったらあいつしか・・・。

「昨日の夕方ですか?」

目の前で怪訝そうに首をかしげるのは白ウサギ。
可能性的には低いと思うがやはり、他に白髪の知り合いは思い当たらなかったのだ。

「ああ、何やってた?」

「何って、仕事ですけど・・・そんなに僕の事が気になるんですか?」

「・・・」

にこにこと、キラキラと言われ、ついひきつる。

どこまでが本気なんだか・・・。
いや、多分ほとんど冗談、だよな?

大体こいつだと思ったアタシが馬鹿だったのかもしれない。
代わりならいくらでもいる。

そう言ったのはこいつではないか。
大体、こいつが、わざわざアタシなんかを助けにくるんだろうか?

何かキラキラしてる白ウサギを放っといて部屋を出た。
じゃあ、あれは・・・?



「白ウサギ以外の白髪?」

シャルトルがペンを走らせるのを止めて、顔を上げる。

仕事中だから悪いとは思ったが、響はまた仕事で出てるし、令は来たのがアタシと一緒の時期なので、悪いとは思うけどあてにならないだろうし、この前話したもう一人(四章参照)ってのは現在放浪中なのだ。

だから、他に聞ける人がいなかった。

仕事が終わるのを待つという手もあったのだが・・・好奇心に負けてしまった。
仕事中でも嫌な顔1つしないで話を聞いてくれるシャルトルには感謝している。
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