Wonder land

□6.数合わせ
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千隼はふと、楽器屋の前で立ち止まった。

この世界にも、やはり音楽という文化はある。
ロックからバラード、クラシックまで、色々な音楽。

ふと、好きなアーティストの曲が頭に流れる。
確か三年前、活動やめちゃったけど、人気で、いい曲ばかり作ってた。

天才中学生ソングライターなんて呼ばれてたな。

確か名前は、芸名だと思うがEisu(エイス)。
音楽は気分を楽しくさせてくれたり、感動させてくれたりする。

それは、アタシの世界とも変わらない。



「令、そっちの資料取ってくれ」

「は〜い」

資料を受けとると、一通り目をとおし、必要だと思われる情報をメモする。

一応これも仕事の一貫だ。
早いとこ自分たちのノルマをぱぱっと済ませようと手を急ぐ。

「本当、テキパキしてるよね」

「そうか?ありがと」

そして最後の資料に目をとおす。

資料の内容は主に政治状況、他国との交渉、敵国の情報など。
令から見ればかなり頭の痛くなる仕事だ。

「ん?」

ガチャっと音がして扉が開いた。

「書類、取りに来ましたよ」

白ウサギだ。
こいつはいつもタイミングを読んだかのように現れる。

「ほら」

千隼は白ウサギにぱっと書類を手渡す。
それを白ウサギはぱっと目をとおす。

「相変わらず上出来ですね」

白ウサギはちょっとつまらなそうに言った。

「不満そうだな」

「出来ないなら僕の部屋で個人授業でもと思ったんですが・・・」

「いい加減にしてくれ、変質ウサギ」

タメ息をそっともらす。

白ウサギもアタシに付きまとって何が面白いんだか・・・。
最近は迫られる?回数が特に増えた気がする。

「いいですねぇ、ツンデレ」

「少なくともデレは入ってねぇ」

どこまでも有難い思考の持ち主だ。

何考えてるかわかんない反面、油断できない。
白ウサギはそのまま書類を持って出ていく。

「本当、あいつが上司とか、凄い嫌だ」

「同感だ」

千隼は令の呟きに同意するて、その場でぱっと転がり、静かに吐息をたてて寝る。

「まったく無防備な・・・、でもお疲れ」

令は苦笑い気味に呟くと、眠くなったのか自分も横になった。



あれから随分寝てしまった・・・。

目を覚ますとあたりは暗くなっていたので慌てて起きた。
令はまだ寝てたのでそっと毛布をかけておいた。

白ウサギの部屋の前。

ドアをそっと開ける。
ここにくる前に学校で、そしてこの前スペードの城で見た大蛇のことを聞きにきたのだ。

ドアを開けると、白ウサギはいなかった。

仕事で出ているのだろうか?
変なものでも置いてんじゃないかと疑ったのだが、案外落ち着いたデザインの部屋。

ふと、ベッドの下に何かが落ちていることに気付く。
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