Wonder land

□18.渦巻く影
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王室に入るとなにやら令と響も来ていた。

「令に、響?」

「あぁ、千隼・・・とついでに野田」

こちらに気付いた令は軽く手をふる。

「まぁ、ついでに、と言うところはつっこまないでおきましょう。あなたがたも女王にご用が?」

英介は令をさらりとかわすと、二人に問う。
・・・最近令の口が悪くなったのは気のせいではないだろう。

響はともかく、令は仕事以外では女王の部屋には滅多に来ることはない。
何かしら理由があると考えていいだろう。

「何か今日の朝から魔術使えないんだ」

「俺も。俺は昨日からだけどな」

令に続いて響が言う。
どうやら魔術が使えないのは英介だけではないらしい。

「うむ、困ったものだな」

「寧ろ楽しそうにしか見えねぇ・・・」

「何を言う、わらわはそなたらを哀れんでいるのだ」

響のツッコミは女王様の胡散臭い言葉に否定される。
それにたいして、皆つっこまないのは危険を感じているからだろう。
女王様の手にさりげなく握られているムチとかに。

「とりあえず、令とハートのエースは先に戻るがいい。適当に調べておいてやる」

女王様がそう言うと、とりあえず令達は部屋を出ていく。

「さて、そなたらは?」

「いや、今の方々と同じで魔術が使えなくなったんです」

「う〜ん・・・千隼」

女王に急に名前を呼ばれ、へ?と若干間抜けな声が出てしまう。

「そなたは魔術が使えるのか?」

「はい」

「白ウサギの護衛にまわれ」

「・・・は?」

予想外の申し出に唖然とする。
英介の護衛?

「それって必要なのか?」

「うむ。まぁ護衛していればわかるだろう」

そう言われてちらりと見ると、英介は目をそらして苦笑していた。



あれから数時間。
とりあえず魔術が使えなくなった原因を突き止めるため、図書館に向かったのだが・・・結局何もつかめず帰り道。

「こいつらの情報網、侮れませんねぇ」

英介がそう言って軽く蹴ったのは先程アタシが倒した敵・・・?の数々。

皆、英介が魔術を使えなくなったのを知り、礼参りに来たらしい。
こいつらは英介に何かしら恨みを持っている。

家を燃やされた、とか。
店を潰された、とか。

彼女の前でカッコいいとこ見せようと英介に喧嘩を売ったら恥をかかされフラれたとか。
・・・最後のは最後の動機は不純な気もするが。

とりあえずアタシはそういう奴等をことごとくアタシが返り討ちにしている。
ぶっちゃけ、図書館の行きの時もこんな感じだった。

「お前もそんな恨み買うようなことしまくるなよ・・・」

「若気の至りってやつですよ」

英介はそう言って苦笑いをする。
そういえばこいつがまだ昔、バンドをやっていた頃の噂はいくつか聞いたことがある。
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