Wonder land

□23.奇襲
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見覚えのあるカフェ。
青年に手招きされるまま向かいの席につく。

「今度は何のようだ?・・・ロゼ」

「13番目が現れてしまったようだね。それと、ジャックが革命を起こした」

「よく知ってるな」

「見てたからね、君を」

・・・ストーカーが増えた。
ロゼはそんなことを思うアタシの白い目にも動じず、話を続ける。

「後二人・・・」

ロゼはそう言うと、数秒ほど目を瞑った。
二人・・・瓶の光の事だろう。

「なぁ、教えてくれ。この瓶の光が完成したらどうなる?」

その問いにロゼは軽く両手を上げるリアクションをとる。
どうやら教える気はないらしい。

「あんたは、何なんだ。ただの夢なのか?」

先ほどの問いは諦め、新たな問いを出すと、ロゼの澄んだ青い瞳がアタシの目をとらえた。

「今は未だ、夢でいいよ」

ロゼはそう、含みのある言い方をすると、微笑んだ。

「スペードの女王に会うのも忘れないように、ね」

ロゼはそう忠告すると、背景に溶けて消えてしまった。



ベランダに続く窓から射し込む光にうっすらと意識を取り戻した。

朝を自覚し、隣に寝ている人物に違和感を感じながらベッドから起き上がる。

無事何もなかったものの、こんなとこ令に見られたら怒られるんだろうななんて思うと、つい苦笑する。

「さてと・・・」

千隼がそう言って立ち上がると同時に、ドアがガチャリと開いた。

ドアを開けた主、目が合う。
そしてその視線はすぐアタシのベッドに寝ている人物に注がれた。

「・・・」

固まる事、10秒。

ここでドアの鍵を閉め忘れたことに気付く。

「えっ・・・」

「頼む、騒がないでくれ!」

慌てて叫びそうになる兵士Aの口を急ぎ、手で塞いだ。



すっかり頭から抜けていた。
こいつ、兵士Aはアタシの世話役もやっているのだ。

今回は朝食を運んできたらしい。

とりあえずアタシは兵士Aを椅子に座らせると、再びベッドに座った。

「こいつって確か、クローバーの国のザンですよね?」

兵士Aはそう言って未だにベッドの上にぐっすり寝ているザンを指差す。

「ああ」

「何故ここに?」

「訳あって・・・匿まってるんだ」

そう言った後、誰にも話さないでくれと念を押す。

「わかりました」

兵士Aのその返事に千隼はありがと、と返し安心して微笑んだ。

「では、私はこの後も仕事がありますので」

兵士Aはそう言い残すと、部屋を出ていく。

アタシはそれをベッドの上から手をふり見送る。

「千隼」

兵士Aが完全に部屋から出た頃、背後から声が響いた。

「何だザン、起きてたのか」

振り向くと、眠そうに上半身を起こして、眠そうに目を擦るザンの姿が目に入る。
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