□バースデープレゼント
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とある森の奥深く…

まるで御伽の国に来たような、洋風の屋敷がひっそりとたたずんでいた。夜になり、明かりを灯した窓から外を眺める者がいる。この屋敷の主人でもある半兵衛は、清楚な白いタキシードに身を包み、やがてこの屋敷へやって来る客人を心待ちにしていた。

「もうすぐ時間だ。本当に来てくれると思うかい?幸村君」

窓から外を眺めたまま、半兵衛は右手に握ったステッキを左手の平に軽く打ち付けながら訊いた。

「うう…///」

すぐ背後から苦し気な唸り声が聞こえる。裸で口に猿轡をはめた幸村は全身を真っ赤なリボンで拘束され、椅子に縛り付けられていた。

「ああ、そうだった。君、それじゃあ喋れないよね」

振り向いた半兵衛は幸村に寄り、猿轡を外した。

「ハァハァ…必ず…佐助は来る…///」

幸村は苦しそうに息を切らし、言葉を連ねた。

「ほお、見事な主従愛だ。でも、君のこんな姿を見たらどう思うかな?」

半兵衛は背後から幸村の顎を掴み、正面の鏡張りの壁へと向かせた。肌にリボンを食い込ませる自分の姿が映り込む。恥ずかしくて見ていられない幸村は、顔を赤く染めて目を背けた。

「…や、やはり、こんな事やめないか…?///」

「今さら何を言ってるんだい?佐助君を喜ばせてやりたいんだろう?ほら、しっかりと見るんだ…」

目を反らす幸村を、もう一度鏡に向き直らせる。不安がる童顔に頬を寄せると、半兵衛は鏡越しにニッコリと微笑んだ。



その頃、佐助は屋敷のすぐ近くまで来ていた。

「こんなところに屋敷なんて、本当にあるのかよ?つーか、半兵衛から招待状って…怪し過ぎ…」

懐から招待状を取出し、確認する。再び道の先に視線を戻すと、それらしき建物の明かりがぼんやり見えて来た。

「お、来たみたいだ。幸村君、準備はいいかい?」

「ンむ…///」

幸村はまた猿轡を噛まされていた。

「やあ佐助君、久しぶりだね。待ってたよ」

半兵衛は玄関まで降り、扉を開けると佐助を中へ招き入れた。蝶ネクタイに黒のタキシードという、佐助の珍しい格好に少し驚く。

「洋風の屋敷って言うから、俺様お洒落して来てみた。何の会だか知らないけど、招待されちゃったみたいだし…」

佐助は招待状を出しながら、照れくさそうに頭を掻いていた。

「迷彩もいいけど、良く似合っているよ。さあ、こちらへ…」

長い廊下を半兵衛の後に付いて歩くと、ダイニングホールへと案内される。大きなテーブルには豪華な料理と、高級なシャンパンが並べられていた。

「うっわ!スゴ…」

「せっかくのお祝いだからね。さあ、君はそこに座って」

言われるまま、佐助は半兵衛と向かい合わせに席に着いた。







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