見つかっちゃった!
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或る日のソルジャー
「そんな顔してんじゃねえよ…何か未練でもあんのか?」
一護は小さな男の子に話し掛けていた。と言っても、他人からは一護が独り言を言っているようにしか見えないだろう。胸からちぎれた鎖が伸びている…そう、男の子は、魂魄なのだ。
「みれん…?」
「あ、難しい言葉は分からねえか…ええと、何かやりたかったことはあるか、ってことだ。俺に出来ることなら手伝うからよ。」
一護が言い直すと、男の子はポケットから桃色のハンカチを取り出した。
「このハンカチ…。」
「ハンカチ?それがどうしたんだよ。」
「あのね、僕が泥だらけになってた時に、お姉ちゃんがこのハンカチで顔を拭いてくれたの。だから返したいの。」
「そうか…。」
正直聞くんじゃなかった、と少し思った。手掛かりがあまりにも少な過ぎるし、名前も知らないときた。
でも現世での最後の願い事だ、少しでも力になってやりたいと一護は思った。
「分かった、じゃあその辺歩いてみようぜ。」
一護は男の子と手を繋ぎ、街の中を歩き始めた。
「どんな奴なんだ?ハンカチ貸してくれた奴って。」
「うんとね、目が大きいお姉ちゃんなの!それでね、変な言葉使ってたよ。」
「変な言葉?」
まさか頭が若干いかれてるような奴じゃないだろうな。そんなことを心配していたが、男の子の次の発言に、一護は固まった。
「うん。たわけ、とか、きさま、とか言ってた!」
確実にあいつしかいない…一護の脳裏を過ぎるのは、居候の死神だ。
「…すぐに会えるぞ。」
「本当!?」
「ああ、ほら。あいつだろ?」
「あ!お姉ちゃーん!!」
お姉ちゃん、と呼ばれたのは一護の待ち合わせ相手である、ルキアだった。一緒に“お姉ちゃん”を捜してくれと頼んでいて、待ち合わせをしていた。まさか彼女が張本人だったなんて、思わなかった。
男の子を見た彼女は笑顔だったが、少しだけ哀しそうにも見えた。
「お姉ちゃん、ハンカチありがとうね!」
「わざわざありがとう。…元気でな、また会おう。」
「うん!お兄ちゃんも、ありがとう!」
「おう。」
男の子を魂送して、二人は黒崎家へと歩き始めた。
「さっきの子はな、公園で虐められていた女の子を護る為に必死に戦っていたのだ。それで泥だらけになったのだ。まだ小さいのに、格好良かったぞ。」
「へえ…。」
「まるで貴様のようだったよ。」
ふふふ、と笑うルキアに、一護は顔が熱くなるのを感じた。
「…ふん、護ってやろうじゃねえか。」
ルキアを見て彼はぶっきらぼうにそう言うと、彼女はまた笑った。
空には黒い蝶が、ひらひらと舞い踊っていた。
end.
★★★★★★★
魂魄とイチルキのお話。
さて、図書館内の謎のコンテンツのパスです。4文字のパスの、3文字目と4文字目は、
「15」
です!半角です。
さて、他の文字はもう見付けたでしょうか?
一つだけヒント→短篇集!
2009.07.29 水瀬碧