□それが愛だといい。
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『……なに言ってるんですか。
そんなわけないでしょう』

ふふ、と綺麗に笑ってみせた。
僕は全てどうなっても良いとでも言うような声色で、
そうだよね、と今度こそ微笑んで、骸が淹れてくれた甘すぎる紅茶を飲み干した。

『そうだよね』

誰に向けて言ったのか。
骸は何も言わなかった。
居心地悪いな。ちっとも楽しくない。帰りたい。
いや、家はここだけど。

『……疲れました』

少し吃驚して骸を見ると、彼もまた目をまるくして僕を見返した。
そうですよねえ。
間があり、顔を見合わせて、嗄れかけた笑い声をあげた。

『いい天気だね、骸』

『雲ひとつありませんね、雲雀くん』

『ねえ、疲れたのに僕はまだ、
君のこと愛しているよ』

『僕もですよ。どうしましょう』

きりきりと、ああ痛い、いたい!
骸、角砂糖の数を間違えただろう。
僕の嫌いなハーブを紅茶に混ぜただろう。
綺麗な顔で嘘を覆っているつもりだろう。

『わかっているよ』

僕は立ち上がって、何か言いたげな骸を抱き寄せた。
それから醜い火傷にキスをして。
喉に込み上げる虚しさに気が付かないうちにと、そのままソファに優しく押し倒した。



***



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