短編
□この想い
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「土方さん! 付き合って下さい! 私ずっとずっと前から、貴方の事が好きだったんです……」
一瞬の驚きの後
「俺もお前の事は嫌いじゃない。……付き合うか?」
その時は、大好きな土方さんに
「付き合うか」
と言われた喜びが大きくて、その言葉に秘された意味何て深く考えてなかった。
そうだった。
土方さんは最初っから、
嘘何て何一つ吐いてなかった。
都合良く勘違いしたのは、
「私」
けど、だけど、少しぐらいは夢見たかったの。土方さんと幸せな日々を過ごせる、細やかな夢。
だけど、死んだ人にはやっぱり勝てなかった。
ううん、多分……嫌、絶対。
あの人が生きていたとしても、
私には一縷の望みも無かった。
だって、二人とも互いを思い合って、互いの幸せを願って身を退いて、互いの為に命を掛けた。
そしてあの人は逝ってしまった。
死んじゃう何てズルいよなぁ、
生涯忘れられる訳無いじゃない。それが、愛してた人なら殊更。
わかってたつもり何だけどね、
土方さんの事がただ好きだった。だから目を背けてしまったの。
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