短編
□楽園
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「驚いた…ガイだったのね」
肩の力を抜く
というよりは自然と抜けていった
仲間の顔であるとわかればそれは当然であろう
けれどガイの表情からは普段の笑顔…ましてや言葉さえも発せられない
(…体調でも悪いのかしら?)
ただ冷めたような瞳で心配そうに自分に歩み寄るティアを見つめた
「ガイ?どこか具合でも悪……ッ……!!?」
目を疑った
それはティア自身が一番感じている…
腹部に突き刺された磨き上げられた剣
握っているのは紛れもない
ガイ
「っう………ガ、イ……なんで…」
広がる血の匂い
嗚呼…忌々しい
憎い女の血の匂い
俺からルークを奪おうとしたこの女の…
「なんでかって?愚問だな、目障りだからに決まってるだろ。お前の存在全てが俺にとって」
邪魔な障害物にすぎない
「今まで好き勝手泳がせていたが…そろそろルークを返してもらおうか?メシュティアリカ」
今の俺はどんな顔をしているんだ
ああ…笑っているのか。
だって堪える事なんか出来るはずがないだろう。ようやく…ようやくルークに纏わりつく蜘蛛の糸を剥ぎ取る事が出来たんだ
「気安くルークに触れたその罪を…その命で償え!」
後日、他の奴らもあの世送りに葬った
『当然の事』だろう
纏わりつく邪魔なものは処分のみ
それがルークにとっても俺にとっても幸福
声を失い震える肩が愛おしい
今にも腰が抜けそうなその怯える姿も愛らしい
そうだよ…お前の存在が俺を興奮立たせてるんだ
「好きだよルーク、愛してるんだ…ハハハッ!愛し過ぎて…おかしくなっちまう」
もう止められない
誰にも止められない
俺達の楽園に踏み入れる奴は俺がこの手で葬る
「さぁルーク一緒に行こうぜ。誰も居ない、俺達が深く愛し合える所に」
誰も居ない。誰も来ない。エデンという俺達の世界へ
end
+++あとがき+++
微妙に偏って微妙に久々な更新。
ガイ様華麗に黒化!
黒ガイに染まる勢いのサイトになりつつあります(笑)
20090904