短編
□愛人形
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「好きだよ、ルーク。」
お決まりの臭い台詞と優しさに満ちた笑顔に釣り合わないガイの行動に、逃げ場さえも与えられないルークはただ身体を震わせるばかりだった
「なぁ、何で今日俺じゃなくてジェイドの旦那の所について行ったんだ?」
「ご……ご、ごめんなさ……」
ゴッ
謝罪の言葉を口にする途中、重く痛々しい拳が腹部に当たる
こみ上げてきた血液を苦痛な悲鳴と同時に吐き出し、尚も耐えるように床に膝をついた
「痛いか?でもこれくらいの痛みならどうって事ないだろう」
「……ガ…イ…!俺…」
パンッ――――
「うぁッ……!!!!」
言葉を繋ぐ最中にガイの手がルークの頬を目掛けて振り上げられる
「言い訳は聞きたくないな。それにこの程度の事、いい加減慣れてみせろよ」
口端を不敵に吊り上げて笑って見せては膝をつくルークに目線を合わせるようにしゃがみ、まるで猫の喉を撫でるかのように赤く腫れた頬に触れてみせた
「…ガイ、お願い…っ…聞いて…」
「お前が今発していい言葉は一つだけじゃないのか、ルーク」
絶望に侵食された瞳で目の前のガイを見つめ
隠しきれない震える唇を懸命に動かした
「……ガイ様…、愛して……ます…」
そう
それで良い
俺の可愛い『ルーク』
俺だけの『愛人形』
誰にも渡すものか
お前は俺のモノだ…
お前は俺に忠実に従っていればいい
お前の主は俺ただ一人だけだから
end
20090520