短編

□イタリアの花嫁 前編
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「好きでも相手を寂しがらせる奴なんざ彼女じゃねぇよ」
「獄寺…」

獄寺君、サラッと格好いい…。

なんて思いながらもそうだよとツナも獄寺に賛同する。
「ん…二人共、サンキューな。俺…色々考えてみるわ」

やったーーーー!!

これで別れた後に慰めてあげればポイントアップだ的な妄想をツナ達が繰り広げていることなど露ほども知らずに、山本はにこりと笑った。
「やっぱ、話すと楽になんだな。本当にサンキュー!!」
幾分か明るくなった山本の笑顔を見て、ツナと獄寺はホッと胸を撫で下ろした。
「あ…そういえばさ」
本当は聞かない方がいいのかもしれないがと内心思いながら、ツナは遠慮がちに口を開く。
「その彼女…って、どんな子なの?」
それは俺も聞きてぇと獄寺も便乗する。
「え?えー…と」
二人の視線に山本は少し目を泳がせて遠い恋人との記憶を引っ張り出す。
「うん、と。一言で言うとワガママで、自分の思い通りにならねぇと友達の頭にグラスぶつけたりしてて…たまに俺もげんこつ食らうんだよな」
「どんだけ強いのその彼女ーーっ?!!」
「グラスって…その友達死なねぇのかよ…」
「ワガママの範疇越えてるってソレ!!」
「あはは!おもしれぇ奴なんだぜ?」
「「面白くないでしょ(だろ)!!」」
ここまで聞かされては更に気になる。ここまで滅茶苦茶であり、山本を惚れさせた人物とは一体…
「誰なんだよ」
「何が?」
「ソイツの名前」
「ああ、それはな」
山本が口を開いた時だった。

「ザn

キーンコーンカーンコーン…

「あ、予鈴だ…」
ツナがボソリと呟いた。
「…よし、んじゃ行くか」
その声を合図に山本が立ち上がり扉に向かう。
「あ、おい待てっ」
三人は急ぎ足にその場を去り、自分たちの教室へ向かっていった。
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