連載

□第4章 後編
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「うまく撮れてっかな」
個室から出た万事屋は何事もなかったように、脇のカウンターでなにやらいじくっている


やべやべ。さっき「段階踏んで」なんて思ってたのにもう階段すっとばしちった

(静まれ息子ぉぉ)
起き出したムスコに心の中で話しかけ、目の前の作業に没頭した


(こいつどこまで本気なんだ?)

「うおっ時間足んねっ」

夢中で何かやっている。なにやってんだ?俺の存在は無視かよ

壁を見ると、ここで撮ったと思われる写真がベタベタとくっついていた

(どれもLOVEだ愛だ、ハートマークばっかりじゃねえかっ!!)

自分たちもさっきまでこのバカップルと同じことをしていたのかと、急に腹立だしくなった。あいつに騙されなきゃ写真なんか撮らなかった


「おいっ気はすんだか?俺はもう帰るぞ」
きびすを返して足早に店を出た

「あっ大串くん待って」

(待ってくれてもいいのによぅ。なんだよチェッ。キスしただけじゃねえか)

別にそんな嫌がることはしてねェ……騙して瑠璃倶楽撮ったことになんのか?

「アト10ビョウダヨ」

(帰るとこはわかってし、さっさと仕上げちまお)

思いついて最後に文字をつけ加えた

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