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□優秀上司
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俺の上司はぶっちゃけ優秀だ。



「オイ」

「はい、何ですか」



仕事は迅速確実。腕も確かだし部下に対する配慮もいい。それに優しいばかりでなく厳しい時は厳しい。めちゃくちゃ怖い。いっそのこと死んだ方がいいんじゃないかって思う程怖い。

けど死を選ぶ事は許されない。死はあの人の誠に反する様だ。腕が折れようが足がもげようが、例え敵に背中を見せてでも必ず生きて帰って来る。それが監察だと言う。

でもそういう時は毎回笑顔だからただ藻掻く部下を見て楽しんでいるだけの様にも見えるのは此処だけの話。



「この書類山崎に書き直す様伝えてくれ。何なんだよ小学生の作文かコレは」

「はぁ…」



俺の上司はぶっちゃけ優秀だ。勿論字だって上手い。書類関係の雑務も綺麗にこなすし、やり直しを食らった事なんて皆無だ。

この上司の上司を除けば。




「山崎さん」

「ん? 何どうかした?」

「これ副長から書き直す様にと預かりました」

「あぁ、これね」

「因みに4時までにとの事です」

「は!?? あと3分しかねーじゃん!」



机にあった書類の束を適当に退かし急いで取り組む上司。俺は斜め後ろに座り辺りに散らばる書類を整理する。中には内密な書類も交ざっていたが俺が知らない物はない。

当り前だ。俺の上司は優秀だから絶対に俺が誤って見るなんて真似はさせない。もし仮にあったとしたら俺はもうこの世にいないだろう。



「山崎さん」

「よっしゃ出来たぁぁあ!!─え、何か言った?」



ガッツポーズを決め勢い良く立ち上る上司。廊下に繋がる障子を開け飛び出そうとした時、俺に気付き視線を向ける。



「何でわざとやるんですか」



真剣に聞いた俺を嘲笑うかのようにその唇が一瞬弧を描いた。上司はヘラリと笑う。



「面白いからだよ、」



見えなくなった姿、足音は聞こえない。まるでその場から消えてしまったかの様に。

俺の上司は優秀だ。反面、下らない事でよく怒られている。

今だってほら、



「山崎ィィィィイ!!!!!!」

「ぎゃぁぁぁぁあ!!!」




俺の上司は優秀だけど結局よくわからない人だと僕は思いました。

作文。




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「シノが呼び止めるから2秒遅れちゃったじゃんか!」

「責任転嫁は止めて下さい」




fin.

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