hand.
□必然メーカー
1ページ/2ページ
桜が舞い青空に太陽が輝く。晴れやかな暖かい陽気、自然と心も浮かれてくる。ふふん、と鼻歌を唄いながらスキップを決めて空を仰げば可愛らしい小鳥達、
それと───…
ドンッ!!!
「痛っつ─…」
それと、脳に響いた激しい痛み。赤髪の少年、市村鉄ノ助は爽やかな気分から一変、後頭部にデカイたんこぶを作り身悶えている。
「おっと。大丈夫かー」
顔を上げればキラキラと光る銀髪。着物を着くずし腰には木刀を差した男がやる気無さそうに市村を見ていた。
「おい!ぶつかっといて礼もなしかよ!!」
「あ?ぶつかって来たのはテメーだろ。迷子か?」
「ガキ扱いすんじゃねーよ銀髪!」
「ガキが何言ってんだ赤髪。シャン●スにでもなったつもりかコノヤロー」
向かってくる市村の頭を片手で押さえる銀髪こと坂田銀時。すると、それぞれの背後から声がかかった。
「鉄くーん?勝手に行っちゃ駄目じゃないですかぁ」
「だから置いてくればよかったんですよ」
「銀ちゃーん、酢昆布がきれそうネ」
「神楽ちゃん!ちょ、定春置いて行かないで!!!」
「「──あ、」」
ご存知新撰組メンバー(土方留守)と万事屋メンバー勢揃い。沖田と神楽は互いに指を指し声を揃えた。
「あの時のお嬢さんじゃないですか、えっと…神楽ちゃん?」
「覚えててくれたアルか!銀ちゃん、夏に言ってたベッピンさんネ!」
「あーどうもどうもうちの子が世話になったようで。んで、いつの話だ?」
「銀さん…あんた全然覚えてないじゃねーか」
「楽しいご家族ですねぇ。私は沖田と申します、それと─」
「…山崎です」
「僕は志む─
「"ダメガネ"アル」
「オィィィイ!自己紹介くらいさせ─
「それと銀ちゃんネ」
「…もういいです。それにしても沖田さんと山崎さんですか、真選組の2人と同じ名前なんて凄い偶然ですね」
「あぁ、ご存知なんですか?ちょっとした縁があって…って鉄くんは─」
「あっちで犬に食べられてます」
「定春ゥゥウ!!?神楽ちゃん!早く助けてあげて!!」
「じゃれてるだけネ」
「殺人レベル!?」
ギャアギャアと騒ぎながらなんとか救出。市村は泣く所か、面白い!とすっかり定春に懐いた様だ。それを傍観していたのは銀時と山崎。というか山崎はじっと銀時を見ていた。
「えっと…山崎くん?」
「…………」
「アレ?しかと──
「沖田さん、副長がお待ちですから帰りましょう」
「─………。」
サッと銀時から顔を反らし沖田と市村を促す。もちろん文句を言う2人だが"副長命令"と言う山崎に渋々頷いた。
「オイ銀髪!今度こそ決着つけてやるからな!!」
「2度と迷子になるなよガキ」
「ソージ、今度は歌舞伎町の女王直々に遊んでやるネ」
「フフ、楽しみにしてますよ」
「じゃあ皆さんまた、」
嵐の如く訪れては去っていった3人。
「なんだか訳ありっぽいですね」
「関わりたくない奴らが増えただけだろ」
「ソージは良い奴アルよ」
バッと揃って神楽を見る2人。だがその表情は傘に隠れて見えなかった。
((──恋か!!!??))
───────……
「あの銀さんって人、なかなかでしたね」
「あまり関わらない方が宜しいかと」
「何言ってんだススム、俺がボッコボコにボス!!!」
「"ノス"や阿呆。」
絡み合った腐れ縁。
望まずとしてもまた会う事になるとは今は誰も知る由はない、そんな1日。
fin.
⇒