hand.
□ひとやすみ
1ページ/2ページ
ぽかぽか陽気、爽やかな風、春の香りを乗せ桜が舞う。
愛用のバドミントンラケットを縁側に立て掛け、んーっと伸びをするのはご存知の通り真選組監察方・山崎退だ。
春の日差しに誘われついつい職務も忘れ(何時ものことだが)ラケットを振るっていた。
「暖かいなー」
「…仕事しないんですか?」
「んあ、昼寝したらね」
縁側にゴロンと寝転がった先、見えた顔にニコリと笑って返事を返す。それに呆れ顔なのは新選組監察方・山崎烝。膝を折って退の隣に座り盆に乗っていた湯飲みを差し出す。
「おーありがと、烝くん。」
「いぇ。何時もこんな感じで?」
「まっさか〜俺マジメだし」
「何言うてるんですか。真面目やったら職務中に遊びません」
「せやかてこない天気良かったらなぁ。あ、飛行機雲」
「話反らすし」
「ははっ細かい事気にしたらあかんて。そっちの世界にはないんやろ?」
ビューン、飛行機雲をなぞる様に指を差す。それに烝も視線を上げた。澄み渡る青い空と太陽、町の声。
「江戸の空気は変わらんなぁ」
「ほんま賑やかな町や。あー烝くんと居ると故郷思い出す」
「それはどうも。ところで、そろそろ気にした方がええんとちゃいます?」
「えーまだ寝たばっかやん」
「ほんなら気張って下さい」
「は?何を…──ッ!!?」
「山崎ィィィイイ!!!!!!」
「マジでか!って烝くん!?」
鬼に捕まるまであと3秒。
「あいつ逃げやがったぁぁあああ!!!!」
───…
屋根の上、ズズッと少し温くなった茶を啜る。
「あ、飛行機雲」
fin.
⇒