hand.


□手を繋いで
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聞き覚えの有りすぎる声に振り返ればそこには予想通りの二人



「何で…」

「先生が心配していたぞ」

「テメーよくも先生に向かってバカとか吐きやがったな」

「!ッだってあれは!!」

「聞いている。先生も先生だが…お前もそこまで怒る必要ないだろう



泡風呂くらいで。」



「くらいでって何だ!!!俺は楽しみにしてたのに、先に先生が入って一人で遊んで─ッ俺が見た時にはもう泡はほとんど無かったんだぞ!!?」

「くだらね」

「全くだ」

「うるせぇぇぇえ!!!!」



銀時と松陽の喧嘩。それは銀時が楽しみに溜めた泡風呂を松陽が勝手に入って駄目にしてしまった事が原因だった。
高杉と桂が声を追って風呂場へ行けば、そこには全身を泡で包みうなだれている松陽がいたと言う



「先生も待っているぞ。本当は自分も行くと言っていたが湯冷めされてはいけないから俺達が止めてきた」

「でも…」

「でもも何もねーだろ!さっさと帰って謝って、テメーも風呂入りやがれ!!」

「は?」

「そんな薄着でいては風邪を引く。先生をこれ以上困らせるな」



風呂へ入ろうとしていたので銀時は薄手の着物一枚。ただでさえ冷えるこの季節そんな格好で外にいれば風邪を引くのは必至だろう

桂は自分の羽織を銀時の肩に掛けた



「行くぞ」

「あぁ…」

「冷てぇ手」

「あぁ…」



銀時の手を握り言う高杉。だが冷たい手はお互い様、高杉と桂も寒空の下銀時を追って来たのだ。
それでも互いの手を握れば



「あったけぇな…」



鼻を赤くした銀時のその言葉に二人は笑む。

さあ帰ろう、あの人が待つ場所へ




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