hand.
□手を繋いで
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きっかけは本当に些細な事だったのかもしれない
「先生のバカやろう!!!」
「待ちなさい銀時!銀時─!」
何時もと同じ平和な1日。いや、何時もよりも平和と言えるであろう日曜の事
突如として聞こえて来た二人の大きな声に高杉と桂は驚き、読んでいた本から顔を上げた
「今のは銀時…?」
「あぁ…てかアイツ!先生に向かって何て口の聞き方を!!!」
普通の生徒ならば居ないこの日。だが二人は毎日朝から暗くなるまで塾に通っていた。それ程までに先生、吉田松陽を尊敬し好いていたのだ
それは先の人物、銀時も同じ事。二人はただ事ではないと思い声のした方へ急ぐ
「先生!松陽先生!!」
「……あ、晋助に小太郎…」
「何かあったんです─って本当に何があったんですか先生ェェェエエ!!!!」
廊下を駆けて彼の下へ急いだ二人。だが、予想を反した状況に桂は絶句し高杉は柄にもなく叫んでしまった
それに松陽はただただ苦笑いを浮かべていた
───────…
足下に転がっていた大きめの石を蹴り上げる
石はそのまま放物線を描き階段下へと落ちて行った
「先生のばーか……」
ボソリと呟かれた言葉。その顔は後悔で溢れていた。何故あんな事を言ってしまったのか…
銀時は辺りにある小石を積み上げ始めた。そこは神社の境内。小石をたくさん集めると祈りが通じるだか、三途の川で鬼から逃げられるだか、昔松陽が話していたのを朧気に聞いた気がする
「…ご、めん……」
「「銀時─!!!」」
「──!」
*