hand.


□銀誕
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あの人の優しい声がする。透き通った響きが己の名を呼ぶ。何時も笑顔を絶やさぬその顔が堪らなく好きで、偶に垣間見る影った顔がどうしようもなく切なかった。

だから、護ろう と。

彼の心に雲が浮かぶなら一陣の風となり陽を照らす。こんな小さい俺じゃまだ駄目かもしれない、けど何時かは。待っていて、先生。
早く大きくになって今以上に先生を護れる大人になるよ。



「──…き、銀時─!」



何処かへ飛んでいた意識が戻る。辺りを見回せばそこは戦場。



「─ッてめぇ!何時まで寝呆けてやがる!!」

「死にたいのか貴様は!!!」

「落ち着くきに二人共!銀時はちくっと浮かれておっただけじゃ、なぁ?」



自分を囲い護る仲間。どうやら相当長い間夢の中へいた様だ。また…まだ、護られている。何て小さいんだ



───トンッ─…



背中を軽く押された感覚、自然と足が一歩前へ。

振り返るとそこにいたのは



「      」



伸ばした手が触れる前に光となった。行き場のない手を握り締める。
今は小さい時とは違う。自分が、護るんだ。



「うるせーよ、お前ら銀さんがいなきゃ駄目だもんな」

「まだ寝呆けてんのかテメェ…もういい!今夜の酒は俺が全部貰う!!」

「貴様独り占めなどにはさせんぞ!誰が買って来たと思ってる!」

「わしじゃろ。」



大声で雑談しつつもしっかりと仕留めて行く。銀時はただ頭に"?"を浮かべていた。



「今日は銀時の誕生日じゃけー上等の酒を用意しちょるぜよ!」

「……………あ。」

「貴様まさか忘れていたのか!?呆れた男だ」

「やっぱ酒は俺が貰う!」



暖かい…戦場だと忘れてしまう程に。

─ありがとう─



「あ?何か言ったか?」

「いや…仕上げだ!さっさと帰って俺の誕生日パーチー開こうじゃねーか!!」

「フン、さっきまで寝呆けていた奴が。まぁいい」

「あぁ、行くぜよ!!!」



今夜は屋根に登って月を見ながら一杯やろう。明日にはまた血の雨が降るだろう。けれど大丈夫、護り護られる仲間が今此処に。そして貴方も。



おめでとう、

フワリと優しい声がした




fin.
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