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□背負ったもの(イナズマイレブン)
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プロローグ 日本代表
――落ちた。約束したのに、もう一度一緒にサッカーすると。なのに、やっぱり俺では同じ世界を見ることはできないと言うことなのか……。
見やれば、不動と目が合った。不動は口元だけで「ざまぁみろ、三下」と言ってにっと笑う。ぐっとユニフォームのズボンを握りしめる。
「佐久間……」
落ちたことを心配してか、鬼道が少し遠慮がちに声をかけてきた。
「大丈夫だ。それよりおめでとう……。ついにお前も世界レベルだな」
と彼は笑顔を作って鬼道に言う。
「まだ、終わっちゃいねぇ。必ず、追いついてやる」
そう言ったのは同じ代表から落ちた染岡だった。
代表はこれで決まったがまだまだチャンスはある。FFIには特別ルールがあり、大会ごとの選手の入れ替えは可能だ。そのため、代表補欠にも代表入りするチャンスは十二分にあった。
染岡の声を聞き、佐久間ははっとして染岡の方を見た。さっきまで落胆していたのに、もうやる気を取り戻している。その姿が不思議だった。