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□石島土門のトンマな一日(烈火)
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「お、お前は……!?」

石島土門のトンマな一日。高一として日常を取り戻したはずの彼に突如現れた非日常。
日常が日常から遠ざかっていく!?


「月白!? なんで、てめぇが学校に……」
学制服を着た月白は、はっとしたように目を見開いた。
「な、なぜだ。なぜボクがあの美しい月白さまだと土門なんかにわかったんだ? やはり、この知的オーラとこの溢れでる美しさはかくせないのか!?」
と無駄に月白はキラキラを振り撒く。
(いや、全国のどこを探しても登校中に薔薇を加えている高校生なんているかよ……)
しかにしても、薔薇を落とさずに器用に喋っている。
「まぁ…….そうさ。いつの時代も“学び”が大切だからね。この知的なボクが、美しさがさらにみがくために…….」
本当に器用にしゃべっている。とりあえずこいつはほっといて……

次の瞬間、土門は信じられない人物を見掛けた。ここにいるわけがない…….いや、正確にはこの時代にいるはずかない人物。
女子に囲まれてニコニコしたあいつは……
「こ、小金井!?」
土門はダッシュでその集団のなかに突っ込み、台風の目をかっさらって、中学校の校舎の裏に連れ込んだ。
「お、おまえ、紅麗といっしょにいったはずじゃ……」

すると、小金井はぱっと手を組んで、
「そうでござるな」
とニマリとわらった。 
 (ござる……!?)
ポンっと煙とともに小金井の姿が消え、代わりに火車丸が姿を現した。
「薫どのが行ってしまわれてから、ファンクラブのおなご達が毎日家に押し寄せてかなわんとの依頼があって、な。久々に帰ってきたとして、心配している友を元気付けているのでござる」
(火車丸……)
「しかにしても、こんなに割りのあう仕事も珍しいでござる……薫どのはモテるのでござるなぁ
ぱぁ〜と火車丸の顔がにやけた。土門は彼の頭をぽんぽんと叩き、
「ごくろう、ごくろう。ちゃんと小金井演じろよ!!」
と念を押しといた。すると、
「わかってるよ」
と小金井の声で言ったかと思うと、どろんと小金井に化けて、
「あ、土門!! 学校は?」
無邪気に聞いてきた。そうだった、演技うまいなぁ〜なんて感心していられない……
「あ、やべぇ〜遅刻だ」
Uターンして走り出した土門。
キーンコーンカーンコーンカーンコーンキーンコーン〜♪

「遅刻上等といいてぇけどな、よっと」
と土門は塀をひょいっと飛び越えて、クラスへと向かう。元々、遅刻なんて気にするタチじゃない土門も今日ばかりはそうもいってられない。
なにせ、今日は美人でセクシーな音楽教師が来るとか…….すぐに荷物をロッカーに投げ入れて、音楽室に猛ダッシュ。
そこに待ち受けていたのは……?
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