novel『復活』vol.2長編
□『倖せが迷う森』#2
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目の前に海が広がる。
水平線まで灰褐色の青さに満ちた、果てのない広大さに息が詰まる。
波音も、一片の風もない。
同色の天空には、一筋の雲さえなく。
重苦しいグラデーションの狭間で、自分の生死さえ危うく感じる。
足下を浸す死の海は、不思議と冷たくもなく。暖かくもなく。
肌に感じる温度や、肌で感じる感覚が全くない事から、この場所が非現実世界−深層心理の中−であると実感してしまう。
痛みを感じる事がない世界。
ならば、行動しない手はない。
−だって、夢なんだから−
何をしても、何があっても、それ以上でもそれ以下でもないのだから。
そう自分に言い聞かせる。