novel『復活』vol.3短編N
□遊びにきてね
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「あーら!ツナちゃんじゃなぁい?!」
買い物帰り、ツナを呼び止めるお姉言葉。
語尾にハートマークが浮かんで聞こえる喋り方に聞き覚えがある。
ツナのコトを「ツナちゃん」なんて呼ぶ人はただ一人…
「久しぶりですね、ルッスーリアさん」
「ホントね〜」
小指を立てて内股で走り寄るルッスーリア。
海外のブランド品でその身を飾り立て、宝飾品に関しても厳選された高級品しかつけないこだわりっぷり。
ガタイのよさからは想像つかない。
セレブそのものだ。
「えっと…1ヶ月ぶりぐらいですね」
「そんなになるかしらぁ〜?時間の過ぎるのは早いものよねぇ」
こんなでも海外を股にかける、装飾デザイナー&メイクアップアーティスト。
ルッスーリアの腕前はハリウッドすら出資を惜しまないぐらいの才能の持ち主で。
かなりの売れっ子で多忙を極めない。
だから、なかなか日本に帰国出来ないのだ。
「そういえば、うちの長男見なかった?」
「レヴィくんですか?仕事、頑張ってますよ」
ツナは、昨日も行ってきたトコです、とつけ加える。
「そぅ」
「この間、雑誌にも載ったらしいですよ。レヴィくんのケーキ屋さん」
ルッスーリアの長男レヴィはパティシエ。
商店街に店を構えて半年になる。
母親(ルッスーリア)同様、外見からは想像つかない繊細さで。
現在、業界では若手ホープの一人として注目を集めている。
かなりな怖面だが、ケーキやお菓子類の人気は絶大だ。
「安心したわ。ようやく軌道に乗ったんですものね」
ルッスーリアは目を細めて喜ぶ。
「ベルくんも元気ですか?」
「あの子、連絡取れなくってね〜。また行方不明なのよぉ〜!」
ケラケラ笑い事じゃないですよ!
と、ツッコミたいツナだったが、ルッスーリアにとっては恒例行事らしい。
「まぁ気が向いたら帰って来るでしょう。大人だし。責任感は持ってるだろうし」
でも、子供たち残して世界中移動するのも気が気じゃないのよ、と苦笑うから。
ツナは「そうですね」としか言えなくなってしまう。