novel『ロックマンエグゼ』vol.4短編
□『Valentine's Day』
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「・・・コレ、やる」
ぶっきらぼうに熱斗が差し出したのは。
赤い包装紙でラッピングされた小さな包み。
その左上。
ハート型のシールに、”St Valentine's Day”の文字が印刷されているのを見て。
俺は、微かな期待こそすれど、まさか貰えるとは予想してなくて。
少し照れながら、小さく「ありがとう」と受け取った。
でも、現代では本命・義理チョコなんて当たり前で。
最近では、友チョコ・マイチョコなんてのもあるらしい。
さてさて・・・
このチョコは何チョコなのだろうか?
本命、なんて都合よく貰える訳がないだろう・・・
とか考えながら、淡い期待が消えた訳ではない。
ま、熱斗から貰えるなら何でもいいんだけど。
それでも・・・
往生悪く、ウダウダ考えていても埒が開かない。
ここは潔く聞いて見よう!
決心した俺だったが。
気恥ずかしいから直視は避けて。
「その・・・これは、何チョコ・・・なんだ?」
たどたどしいにも程がある、ぐらいに。
まるで、拙い幼児(こども)みたいになりながら、尋ねて見た。