novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『非なる永遠』
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「また明日な!」

そう言って、元気に手を振りながら、熱斗がこの執務室を飛び出したのは、昨日の夕方。

昨日から見た明日、すなわち今日。

今日が始まってからを換算するよりも、残された今日を数えた方が早く感じる。

別段、決め事があるとか。
重大な約束を交わしていたとか。

どうしても、会わなければならない訳じゃない。

それでも…
少なからず、待っている自分が居る。

それが妙にもどかしく、少々腹立たしく思えてならない。

期待してるのは自分だけで。
熱斗にとっては、友達感覚な社交辞令(あいさつ)程度だと分かっているのに。

自分の想いばかりが先走ってるみたいで。
自分の気持ちばかりが募る一方みたいで。

何となくだが、癪に触る。

八つ当たりの何物でもないのだが。

また溜息…

『炎山様。本日のデータのバックアップ、完了致しました』

「あぁ。ありがとう」

帰って、早めに寝てしまおう。
そうすれば、悪い夢と処理出来る。

なんて、ご都合主義な現実逃避を決め兼ねて。

待ちくたびれた空間を横目で掠め、新たに突いて出た薄い溜息と共に。

今日感じた手持ち無沙汰を封じ込める様に。
静かに扉を閉じた。

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