novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『Love so sweet』
4ページ/11ページ


「早いな」

この声を、こうして機械越しじゃなくて。
直に聞くのも、一年振り。

相変わらずドキドキする。
それすらも一年振り。

「俺の方が、早いって思ったのに」

負け惜しみを口にすると。
炎山は、照れ笑いを浮かべながら、前髪を掻き上げて。

「たまたま今日から3日間、オフになったからな」

「休みにした、の間違いじゃないのか?」

悪徳副社長、と意地悪を飛ばした。
そしたら、「そうだな」と、やけにすんなり受け止めて。

立ち尽くしていた俺の傍まで近づくと。
さりげなく右掌で頬を包み込む。

輪郭を確認するみたいに、横髪に埋まる指先が蠢く。
まるで、あやされてるみたいに。

それが擽ったくて。
でも、嬉しくて。

重なる温もりに、頬擦りで答える。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ