novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『逆梅雨』
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自然洩れる溜息。

秋に近い残暑の梅雨気分。
雨模様と晴れ模様の交錯する天気予報。

誰でなくとも、
「どっちかにしてくれ」
と、文句の一つも口に登らせたくなる。

肌寒さと名残の熱波と。
慣れる間もない気圧の変動は。
身体的にも多大な影響を与える。

今日も、先程までは晴れていたと言うのに。
現在は、空全体を冷たい涙雨が彩る。

パラパラパラパラ…
形容するならそんな感じ。

IPC社屋ビルの最上階に位置する、自分の執務室からの視認は難しいが。

眼下を臨めたならば。
色採豊かな傘の花が、チラホラ咲き始めた頃合いだろう。

暦の上では、とっくに立秋は過ぎたと言うのに。
秋本番の足音は、まだほんの少し遠い。
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