novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『Father's Day』
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「…だって、秀石さん。炎山からそう言うの貰った事全然ナイって…寂しそうだったから…」

あのクソ親父。
熱斗の純真さに付け込む真似を…!
なんて姑息な手段!

許せる訳がない!!

怒り心頭な感情を、決して熱斗に気取られない様、ポーカーフェイスに隠して。

俺は、ふと閃いてしまった。

「分かった。今回は熱斗に免じて、父の日をしてやろう」

今にも泣き声を上げそうな熱斗の頭を、軽く撫でてやった。

「ホントに?!」
「あぁ。二言はない」

嬉しそうに安堵する熱斗には、多少良心が痛むが。
俺の大事な存在(ひと)を傷つけた報いは、受けてもらわなければ、な…
フフフ…

「で、何贈るんだ?炎山は?」

初めてのプレゼント、に興味津々に尋ねる熱斗。
キラキラした瞳で、俺の顔を覗き込んでくる。

「手紙…かな」

そう。
間違いじゃない。

俺の手書きで作成するんだからな。
言わば、手紙も同然だろ?

「そうかぁ。手紙かー。きっと喜ぶな!秀石さん!」
「…どうかな?」

曖昧な返事の俺に。
熱斗は「絶対喜ぶよ!」と、なぜか自信満々に答えるのだった。

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