novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『Father's Day』
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「だって…の続きは?熱斗」

”何でもない”と言いたげに、両瞳を見開いて。
ブンブン、と無言で強く頭を振って答える。

「ほぅ…」

カタン。
椅子から、重かった腰を上げて。
熱斗の頭を、両側からガッチリ挟み込み、視線を重ねた。

「俺の目を見て答えろ。熱斗」

ブンブンブンブン!
おそらく”イヤだ”、精一杯の拒否だろう。

視線を外そうとする熱斗に、
「こっちを見ろ!」
少し強い口調で命令する。

天敵に睨まれた小動物の様に、ビクビク怯えて。
見る間に、涙腺が膨らんで涙目になる。

断じて、泣かすつもりはない。
けど、潤んだ瞳から、水分が零れるのも時間の問題だった。

「怒らないから、言ってみろ」

先程とは逆に。
宥めすかす様に、優しくゆっくりと話し掛けてみた。
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