novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『Father's Day』
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「…熱斗。父さんに何を吹き込まれたんだ?」

普段より1オクターブ低めな声音で。
問い詰める様に、じっとりと見据えれば。

ギクッ!!
と、擬音が飛び出しそうなぐらいに、熱斗の身体は怯えて跳ねた。

「そ、そんなん何も、絶対ないって!!」

慌てる素振りが、ますます怪しさ大爆発なのだが。
本人は弁明に必死だから、気付いてはいないだろう。

両手を思い切り振り回して、
(焦ってる。焦ってる)

緩んだ頬がニヤけてしまうのが、自分でも分かる。

熱斗は嘘をつくのも、ものすごく下手だ。
おかげで、ちょっと突いてやれば、それ相応の分かりやすい反応が返ってくる。

からかいがいがあって。
ちょっと面白い。

視線がアチコチ泳ぎ出して、眉間に皺を寄せて
、少し困った表情になる。
きっとフル回転でいろんな言い訳を考えてるんだろうな。

そんなトコが可愛いのだ。
コイツは。

おっと、情にほだされてる場合じゃなかった。

「…で、お前は何をするつもりなんだ?」
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