novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『Dear,Friend』
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この日も、夜8時過ぎにママさんが部屋に来た。

「サキ、もう寝る時間よ」
「はーい」

サキは渋々、立ち上がる。

「薬、ちゃんと飲んでね」
「うん」

そう言って、台所へと降りて行くサキの後ろ姿を見送って。
僕は、ママさんに尋ねた。

『サキはどこか悪いんでプクか?』

それと、もう一つ、気になったコト。

『サキのネットナビは、どこ行ったプク?』

サキの机の上には、空のPETが飾ってある。
気にはなっていた。
ネットナビが居るのに、どうして僕みたいな野良をココに置いてくれてるのか?
どうして、PETが空なのか、も。

「あの子、バブルマンの事が大好きなのよ」

『大好き?』

「だから、言えないのかしら…」
そう呟きながら、ママさんは涙を零した。

「今はまだ、知らないままで居てあげてくれないかしら、バブルマン?」

…うん。
納得はいかないけど、いつか教えてくれるんなら。
『分かったプク!』
今は物分かりがいいフリをしとくプクよ。

「薬、飲んだよ」
「じゃあ、おやすみなさい。サキ。バブルマン」

「おやすみなさい。ママ」
『おやすみプク。ママさん』

部屋の電気が消えて、パソコンの明かりだけが煌々と室内に眩しい。

「ちぇー。いいトコだったのになぁー」

『また明日、続きを聞かせてあげるプクよ』

「約束だよ。バブルマン!」

『約束プク!』

ゴソゴソと布団に潜り込むと、サキは小さく「また明日ね」と言って、すぐに眠りに就いた。

『おやすみプク。サキ』
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