novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『Dear,Friend』
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適当に歩いていたら。
どこからか、歌声が聞こえて来た。

はて?
どこだろうプク?

辺りをキョロキョロ。
どうやら子供の声らしい。
発信源を見つけて、そーっと顔を覗かせた。

「シャボン玉、飛んだ。屋根まで飛んだ。屋根まで飛んで、壊れて消えた」

まだ小さい男の子。
パソコンを開いて、お絵かき中。

同じフレーズを、同じ様に繰り返し歌っている。
まるで、覚えたて、みたいに。

でも、表情は浮かない。
心なしか、顔色も良くない。
…気がする。

人間と群れる気はさらさらないから、はっきりとは言えないけど。

この男の子は、どこか寂しそうで。
悲しそうで。ユウウツそうで。
あまり、楽しそうには見えない。

僕には関係ないプクけどね。

気を取り直して、次の行き先を品定めしていたら。

「君、誰?」

…見つかっちゃったプク。
完璧に隠れてたつもりだったのに。
何でだプク??

「お尻まる見えだったよ」
と、男の子はクスクス笑う。

「ねぇ、君は誰かのナビなの?何かご用で来たの?」

あー。
だから、人間は嫌いプクよ。
アレコレ詮索しないでもらいたいプク!!

ツン!!
あっち向いてホイ!と言わんばかりに、顔を背けた。

「ねぇねぇ!もしも、さ。もしも、一人ならさ。僕と友達になってよ!」

『友達…?』

「あ、でも、他に行くトコあるなら無理にとは言わないけど…三ヶ月だけでいいんだ!一緒に居て!!」

”友達”
この二文字に、僕は弱いプク。
惹かれて止まない、何となくだけど。

『仕方ないプクね〜。どうしてもって言うなら、友達になってあげてもいいプクよ?』

「ホントに?!ありがとう!えっと…」

『バブルマンだプク』

「僕は、サキ。よろしくね、バブルマン!」

人間の友達って言うのも、悪くはないかも知れないプクね。
たまには腰を据えて見るのも新鮮だし。

『よろしくプク』

こうして僕は、サキのパソコンに、期間限定で居候する事になった。
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