novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N
□『結葉』
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「…炎山の手、ヒンヤリしてて、気持ち良い」
熱に浮かされながら、熱斗は薄く笑った。
「そうか?」
「…うん、」
喉から零れる、隙間風に似た音に、喘ぐ様に熱斗は息を呑む。
「はる香さんに連絡を…」
「待って」
ブルースに指示を出す俺の声を遮ったのは、弱々しい響きの熱斗の制止。
「ママ、居ないんだ…パパと、旅行…」
絶え絶えに、必死に伝えようとする熱斗。
喋る事自体辛いハズなのに。
「…だから、誰も居ないんだ。家には…」
それでも、俺には心配させない為にか。
笑顔を繕おうとしていて。
「ゴメン…迷惑、掛けて…」
言い終えて、熱斗は苦しげに瞳を閉じた。
整わない呼吸に、胸が上下に大きく揺れる。
俺は、再度ブルースを呼んで。
執事長の文月に、医者を手配する様に頼んだ。
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