novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『Flowlight』
5ページ/9ページ


「どうしたんだ?この蛍?」

「学校で貰ったんだ!一人一匹」

「へー」

気のない返事を返しながら。
暗闇に慣れて来た視界で、俺は熱斗の顔を盗み見た。

恍惚とした瞳と、ウットリと悦に入った表情で。
仄かな光に見入っている。

その満足した様子に、フッと頬が緩む。

「電気、点けるぞ」
「うん」

一刻も早く、この幻想的な光が見たかったんじゃないだろうか。

そう合点がいって、俺も心が暖かくなるのを感じた。

俺は再びブルースに、今度は先程とは反対の指示を出す。

まるでデッキの巻き戻しみたいに、さっきとは逆の流れで、元に戻って行く。

眩しさに目を細めながら、俺は、改めてパソコンを起動させて。
仕事を再開させようと準備をしていた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ