novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『Flowlight』
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「じゃじゃーん!!これなーんだ?」

明かりが消える前と同じ位置に居るであろう熱斗の声がして、そちらを見遣ると。

ホワリ。
暗闇に浮かぶ、淡い光の粒。
その光の度合いを計る様に、強弱をつけながら、静かに瞬く。

「…蛍?」

「正解〜」

コトリ、机の上に置かれたそれは、おそらくガラスの瓶。

近くに顔を寄せて見ると。

ホワホワ、と揺らぐ微かな蛍光色は。
一緒に入れられている草に止まっているみたいなのだが。

輪郭のない、薄ぼんやりとした灯なだけに。
実態が伴わない繊細さと、儚さと。
しんみり漂う、切ない様な憂いを重ね持ち。
どこか、人間の深層心理を擽る。

懐古主義なんて柄じゃないが…
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