novel『ロックマンエグゼ』vol.1短編N

□『Flowlight』
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「なぁなぁなぁ!どうなんだ?!」
「…見た事はある、が」

「いつ?」
「去年の今頃」

「どこで?」
「屋敷の敷地内」

「なんでそんなとこに居るのさ?!」
「いや、庭師の趣味で…」

「じゃあ、誰と見たの?!」
「…皆、で」

数は少ないが蛍狩りは、毎年の恒例行事で。
蛍と言えば珍しくない、と言えば珍しくはない。
俺にとっては、だが。

「…そっかぁ。毎年見てるのかぁ」

熱斗は、途端にガッカリとうなだれて肩を落とす。
が、落ち込んだかと油断した、次の瞬間。

「でもさ!今年はまだ?!」

何が言いたいのかさっぱり分からないまま。
俺は、熱斗の矢継ぎ早な質問攻撃に呑まれて行く。

「…あぁ。まだ、だけど?」

俺が戸惑いながら、そう答えると。
熱斗は、ニンマリと口端を上げて笑った。
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