novel『ロックマンエグゼ』vol.2長編

□『追憶の中の君へ』-2
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「熱斗?今どこに居るんだ?」

「まだ科学省。今でっかい銀杏の樹のトコに居る」

そう言うと、フッと炎山の目元が緩んだ。
どうしたのか、と思案していたら。

「そこはお前のお気に入りな場所だ」

科学省の敷地内でも日当たりは一等地で、昼寝をするのに最適だと言ってた、らしい。
懐かしむ炎山の表情は、優しくて好きなハズなのに。
…嬉しいはずなのに、俺は苦しくて堪らなくなる。

現在の俺じゃない、ずっと後ろにある俺の影になってる、以前の俺しか目に入ってない炎山に。

どんなに逆立ちしたって、炎山は以前の俺の方が必要なのかも知れない…

そんな後ろ向き感情が時々心を過ぎるんだ。

記憶喪失の反作用。
今、俺が戦わなければならない厄介な相手…
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