novel『復活』vol.2長編

□『倖せが迷う森』#2
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くるぶしまでの浅瀬の続く海の中を、真っ直ぐに歩いた。

ザブザブと両脚に絡む水が、歩を重くする。

不思議と呼吸(いき)は切れなくて。
体力の乏しい自分にとっては非常にありがたかった。

けど、見渡せど見渡せど、景色は変わる事はなく。
果てのない行軍に思えてしょうがなくなった。

疲れないから構わないけど…
そういう問題でもない、気もしないでもない。

平衡感覚が失くなってきそうで。

でも、立ち止まる事も出来ず

右も左も前も後ろも上も下も…感覚が鈍くなって。
どっちが前でも良くなった。

ただ、ひたすらに浜辺(りく)を探した。

どこまでもどこまでも途切れそうのない海は、ただ蒼く、生きている存在(もの)は見当たらず。

足を踏み入れる度に起こる波紋が、さざ波を遊ばせるだけ。
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