短編

□期間限定
1ページ/1ページ
















「あちぃ〜」





虎杖はダラリと力なく両手を垂らしてガードレールへもたれかかった。





ギラギラと輝く太陽の日差しが容赦なく肌を焼く。





暑さで茹だりそうだ。





虎杖、伏黒、釘崎、名無しの4人は五条先生からの呼び出しで高専の外で待っていた。





「五条先生遅いね。」





毎度の事ながら待ち合わせ時刻はとっくに過ぎている。





「約束の時間に来れないなら集合時間遅らせろよったく、ずぇーったい今日の夜はシースー奢ってもらう!!」





釘崎が爆発寸前で私はまぁまぁと必死に宥める。





伏黒は眉間に皺を寄せて喋る気力もないのか黙ったままだ。










「コンビニで何か冷たいもの買って来ようか?」





そう言った途端に虎杖と釘崎の目が輝いた。





「俺、ガリガリ君!」



「私、白くま!」





横並びに息ぴったりでピシッと手を挙げる。





「りょーかい。恵は?」





「…俺も行く。」





意外な反応に驚いていると伏黒はコンビニへ向かって歩き始めた。





「すぐ戻るね。」





私はそう言って伏黒の後を駆け足で追う。




























コンビニにはすぐに着いた。





アイスのコーナーに直行し頼まれた2つを手に取る。






「涼しいな。」





「涼しー。」





私たちは並んでアイスケースの淵に手をかけて中を覗く。





「うーん白くまにするか〜それともこっちの限定のやつ…」





どちらも捨てがたい。





迷いあぐねていると伏黒が手に持っていた虎杖と釘崎の分のアイスを上から奪いレジへ進む。





「早く決めないとレジ行くぞ?」





「ちょ、ちょっと待って!」





私は勢いで手前にあった白くまを手に取りレジへ向かった。












清算が終わり棒アイス4つを提げて2人の元に戻ると既にパッケージに汗をかいてしまっているアイスたちを手渡した。





もちろん五条先生はまだ来ていない。





「ありがとーななし!」





「サンキュ!」





各々袋を開封して溶けかけた冷たいアイスを頬張る。





「うっめー生き返る!!」




「暑い所で食べるアイス堪んない!」




「美味しすぎる!」




「ん。」




伏黒以外がオーバーリアクション。











「えぇ!!ちょっと待って伏黒が食べてるヤツ期間限定のプレミアム東京バナナチョコレート味生クリーム入りじゃん!!!」





「本当だ伏黒だけずるい!!私も食べたいー!」





虎杖が指を指して叫ぶと釘崎も気づいたようで騒ぎ出す。





あー最後まで悩んで諦めたやつだ。









「お前達が来なかったのが悪い。」




遠慮もせずに食べ進める伏黒。





「俺買って来るわ!」




「私も行く。」




そう言うとバーッと走って行ってしまった。





野薔薇たち二個も食べるのかな?





うーん、二個は食べれないなと名無しはシャコっと音をたて白くまをかじり見送る。





私も食べたかったなぁ〜と頭の中で思っていた。














「やるよ。」





求めていたアイスが目の前に差し出される。





「え⁉」





驚いて伏黒を見上げるも表情を変えない。










「要らないなら食うけど。」



「いる!」





引こうとした手を掴みそれを阻止する。





「じゃあさ、白くまと交換しよ?」





反対の手を差し出すと伏黒は溶けかけている白くまを受け取り口に入れた。





それを確認してから期間限定プレミアム東京バナナチョコレート味生クリーム入りにかじりつく。








予想していた通りめちゃくちゃ美味しい。





チョコバナナ味のアイスの中心に柔らかい生クリームが入っていて絶妙なバランスでマッチしている。





指に垂れて来る寸前で食べ切った。















「ねぇ、何で交換してくれたの?」










「…何となく。」





「何それ。」





ハッキリしない返答。









「アイツらには言うなよ面倒だから。」





「…はぁい。」





まぁ食べたかったものが食べれて満足したので気にしない事にした。



















それからすぐにハイテンションな五条先生が来た。





「おまた!」





「待たせ過ぎです!」





「あれ悠仁と野薔薇は?」





怒っている私のことは完全無視。





「コンビニ行ってる。」





伏黒が答えるとちょうどお目当ての期間限定アイスを食べながら2人が戻ってきた。





「あー五条先生おせーよ!」




「遅過ぎ!シースー奢れー!」




「あーちょっとちょっと!!それ期間限定プレミアム東京バナナチョコレート味生クリーム入りでしょ!何で僕の分無いの?」





2人のことも完全無視で大声をあげる五条。





「あるわけないじゃん居なかったんだから。」




釘崎はキレている。







「じゃあ今から買って来てよ!」




「ふざけんな遅れてきた事をまず謝れ!」




釘崎はキレている。







虎杖が仲裁に入るも巻き込まれて結局アイスを買いに行った。












そして出発時刻が1時間遅れた。




















.



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ