短編

□卯月
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桜が散り始めたこの季節。







ちょうど3年前に俺は父親になった。







初めて赤ん坊を抱き上げた時は体も声も小さくて、すぐに壊れてしまいそうで怖かったのを覚えている。







「パパ」







そう言って涙を流して笑ったななしの顔はもう母親の顔をしていて、ようやくそこで親になった実感が湧いた。













「ぱぱぁ、みてー」







桜の花にはしゃいで前を走る可愛い娘。







まだ走り方はぎこちなくてハラハラする。







落ちている花を拾い後ろでレジャーシートを敷いているななしに見せに行く。







2人の様子を少し離れたところから見ると心が洗われた。







朝から早起きして弁当を作って家族皆んなで花見。







大袈裟だが幸せで涙が出そうだ。














「ちょっとパパ手伝ってー」







「はーい」







俺は返事をすると娘に抱きつかれてシートがぐちゃぐちゃになり困っているななしの側まで走った。














この幸せな時間がいつまでも続きますように。







抱き上げてきゃーと嬉しがる娘を見ながらそう祈った。






















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