短編

□A dim light
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「はぁ〜」



時刻は24時前。


もうすぐ日付が変わる。



リフレッシュルームで甘いコーヒーを買いソファーに座った。




やっと仕事が終わった。


グッと伸びをしてデスクワークでカチカチに固まった肩と首をまわす。




朝はある組織の調査へ行き20時頃本社に戻り、今まで報告書を作成していた。


いわゆる残業である。



なんだよこの会社!



鬼だよ鬼!



マジでありえない!






世間からは憧れの大企業と謳われているが、極端な労働時間を課すブラック企業である。




私の所属する部署だけが異常な扱いを受けているだけかもしれないが…





ひょんなことから総務部調査課、通称タークスの主任であるツォンさんからスカウトされたのが運の尽きだった。





「受付嬢で良かったな〜」





ボソッと呟くが虚しくただ消えていった。






明日は休みで今日中に終わらせたかったということもありこんな時間になってしまったが、それにしても激務である。


鉛のようになった重い体に帰宅するまでのエネルギーを補給しようとココへ来たが…どうも足が動かない。








「早く帰ろう…」



疲れた体に鞭打つように言葉にすると背後に気配がした。






「送ってやろうか?」



「…え?」


驚いて顔を上げると、欠伸をしながら眠たそうに目をこするレノが立っていた。



「レノ帰ってなかったの?」


本社に戻ってすぐにオフィスから出ていく姿を見ていたので、とっくに帰ったのだと思っていた。




「限界きてたから仮眠だぞ、と。」



なるほど納得。



「顔死んでたもんね。」



ふっと鼻で笑い残りのコーヒーを流し込む。



「お前に言われたくないぞ、と。」



ポンっとレノの大きな手が頭を撫でた。







「…まあね。」



レノに言われるのだから相当酷い顔なのだろうと苦笑した。





「反抗しないなんて珍しいな。」



されるがまま撫でられていると目を丸くしギョッとするレノ。




いつもなら殴りかかる勢いで拒絶するのだが今はその気力もない。



「いつもその反応なら可愛いのにな。」



「刺すぞ。」



ギロリと睨むと頭の上にあった重みが消えた。






「もう終わったんだろう?優しいレノ様が送ってやるぞ、と」



整った綺麗な顔がニヤリと口角を上げた。








「…遠慮しとくわ、レノといるとろくな事ないし。」



特に女関係は面倒くさい。



この時間会社には警備員くらいしかいないだろうが、火のない所に煙は立たぬと言うし。







「知ってるんだぜ。」




「何を?」




「今日電車通勤なの。」


「何で知ってるのよ。」



あからさまに嫌な顔をしてみせたが、ルードから聞いたと面白そうに笑うレノ。









疲れてるし、早く帰りたいし今回だけ。




「お願いします。」















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