「敬愛の先」

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ガチャ



「おっ待たせー。」





隣の部屋へ入ると瀞霊廷通信編集長である檜佐木副隊長がカメラの準備をしている。









「おう、こっちも準備できて…」



檜佐木副隊長と目が合う。




そのまま動かなくなったのでやっぱり似合わなかったのかなと不安になりおどおどする私。



横で松本副隊長が、ふぅ〜んそういうこと、とニヤニヤして呟いていたが焦って気にするどころではなかった。



「いつまで見惚れてんのよ。さっさと始めましょ!」






その声で我に返ったように檜佐木副隊長は動き出す。












「ゴホン…まずは一人ずつ写真を撮り、それから分担して各隊へお菓子をもらいに回ります。」




事前に報告はしてあるので心配しないでください、と付け加えると撮影が始まった。








「あの、雛森副隊長。」




「どうしたの?名無しさんちゃん。」




隣でスタンバイしている雛森副隊長に小声で話しかける



十番隊と五番隊は友好的ということもあり、私たちは一緒に食事するほどには仲が良い。






「やっぱり変ですか?この格好…」





「ううん、すごく似合ってるよ!私こそ変じゃないかなぁ?」





お互い照れながらの会話。






「逮捕されたいぐらい可愛いです。」






なにそれ、と笑う雛森副隊長。





「藍染隊長に早く見せたいですね。」




からかっていうと雛森副隊長の顔が更に赤くなり、会いたいけど恥ずかしいよぉ〜とギュッと目を瞑る。


















そんな会話をしていると、早速撮影が終わった草鹿副隊長が、じいじとびゃっくんのところに行こう!と窓から出て行った。




「あ、ちょっと待ってください会長!」


後を追う伊勢副隊長。













分担によると、松本副隊長と雛森副隊長と私は三・五・十番隊を回るらしい。
















私は撮影に呼ばれてカメラの前に立つ。



カメラマンはもちろん檜佐木副隊長。




今更だけど恥ずかしい…





「じゃあまずは正面からで。」



言われた通りにカメラ目線で前を向く。




檜佐木はレンズ越しに映る名無しさんの姿に見惚れながら煩い鼓動を押さえるのに必死だった。




「次は体だけ横向けて。」




私は指示に従って体を動かすと黙ってシャッター音を聞いていた。




際どいスリットから白くてスラっとした足が伸び、照れた表情がかえって色っぽい…



檜佐木はゴクリと生唾を飲み込み集中、集中、と頭で唱えた。





その状況を楽しそうに眺める松本副隊長。






















撮影が終わると先ずは三番隊へ行くことになった。





移動もこの格好なんだ…




視線を感じながら三番隊隊舎を歩く。





その視線はほぼ松本副隊長に注がれているが本人は全く気にしていないようだ。










執務室には市丸隊長と吉良副隊長がいた。





「乱菊…どないしたん、そないな服着て。」



吉良副隊長は隣で顔を真っ赤にして口をパクパクしている。




「ギン、あんた報告受けてるでしょ?」



眉を顰める松本副隊長に、全部イヅルに任せてるんや、と事も無げに答える市丸隊長。





いつの間にやら近づいてきた市丸隊長に上から下まで確認される。




「ええなぁ、いつも真面目な子がこないな大胆な格好して。そそられるわ。」




ゾワリと鳥肌が立つ。





「ちょっと、私の可愛い後輩に手出さないでよね。」




松本副隊長は間に入り視界を遮る。









助かった…



正に蛇に睨まれた蛙だ。







「そんなことせえへんよ。こんな綺麗なヒトが目の前におるんやから…」





ちゃっかりと松本副隊長の腰を抱く市丸隊長。























「に、似合ってるよ雛森君。」




「ありがとう吉良くん。」



二人を見るとこちらは癒される光景だなとホッとした。




「ななしさんも似合ってるよ。」




「ありがとうございます。」




顔を赤くした吉良副隊長…可愛いな。




少し余裕が出てきて笑みが零れた。















「ほらギン、お菓子くれないと悪戯しちゃうわよ?」




悪戯されたいわーと言う言葉を無視して、用意してますよと棚からお菓子を出す吉良副隊長。







私たちはお菓子をもらうとそそくさと退散しようとする。







「乱菊はもう少しここにおり。」




手首をつかまれソファーに座らされる副隊長。




ジト目で睨んでいるが効果がないようだ。




「はぁ〜こうなったら聞かないのよね…二人とも先に行ってて。」










可哀想に思えたが素直に執務室を後にして五番隊へ向かった。











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