九龍小説

□ご当地グルメ。
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「大体九ちゃんの料理の食材は危ないもんが多いんだっ。」

皆守は疲れたのかどっかりとその場に胡座をかく。
それを見てオロオロしていた取手も漸く落ち着きを取り戻した。

「だってトレジャーハンターの基本はそこにあるもので調合して調達することだよ?」
「だからと言ってこのカニすきや得体のしれないやつの卵巣でイクラ丼を作るのはどうかと思う。」

この分では今までもらったカレー類も怪しい。

「お前もそう思うだろ、取手?」
「え、僕は……。」

突然話題を振られた取手は考え込む素振りを見せた。
その間九龍は、取手を仲間に引き込もうとしてズルいとのたまったが、皆守にはどこ吹く風だった。

「僕は…別にいいと思う…。」
「さすがかっちゃん!!」

九龍の取手に対する友好度が上がった。
皆守はそれを見てちっ…と小さく舌を打つ。

「イクラ丼の卵巣だって得体のしれない虫の子かもわからないんだぞ。」

確かに卵巣は時に蜘蛛の化人からゲットすることがある。

「でも僕の住んでた所では食べてたよ?」
「?何を?」

ここで聞き返さなければ良かったと皆守は後に語る。

「えっと、蜂の子。」


「長野県民が蜂の子食べるのは都市伝説じゃなかったのかよ…。」
「じゃあ取手も食べてたの?」

九龍は意外な程平然と質問していた。
取手も平然とそれを受け入れると、

「蜂の子は高級だから食べたことないよ。でもイナゴは小さい頃何回か。」

と至極あっさり答える。
瞬間皆守は目眩に似たものを覚えた。
そしてそんな会話で盛り上がる目の前の2人との今後の関係も同時に模索してみるのだった。




end
→あとがき。
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