□ありのままの君が好き
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「俺だ」 

「いや 私」 

「普通は男がされるモンじゃねぇのか?」 
 
「私は普通じゃないんですー」





約23分間 この子供じみた言い合いを続けている

言い合いの原因は “どっちが膝枕をするか”
 
こういうのを一般的にはバカップルと言うのだろう。

否 正にこの二人は 氷帝学園の名物とも言えるバカップルその物なのだけれど。





「…ったく、とんだ我が侭なお姫様だぜ」 
 
「じゃあ景吾は我が侭な俺様王子で」 

   



目が合うなり フッと柔らかい笑みを浮かべた。

さっきの言い合いは何処へいったのか そんな和やかなムードになった。




   
「…なぁ」
 
「んー?」

「膝枕はまた今度でもいい」

「うん、…で?」

「だから、今日はこうさせろ」





ギュッ。甘えたように抱き付かれると 目をキョトンとさせて瞬きをパチパチとする。
   





「景吾が甘えてるー」

「…悪いかよ」

「別に ただ珍しいなー、と」

「俺だって好きな女には甘えたくもなる」
 




好きな女。そう聞くと今更ながら 顔がボッと赤くなった気がした。

その顔を見られないようにと、私は景吾の肩に顔を埋めた。





「あはは…聞いてる方が恥ずかしい」

「はっ…俺だってお前にしか言えねぇな」

「わーい 相思相愛」

「今更気付いたのか、あん?」





温かい日差しを身体に受けながら

幸せな気持ちの中 お互いの懐の中で眠りに付いた。







 







目を覚ますと 君がいる。







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